こんにちは、アサです
漢方には、生命力ともいえる「正氣」と、病氣の原因となる「邪氣」という言葉があり、
この「正氣」と「邪氣」のバランスが崩れると病氣になるという考え方をします。
「正氣」と「邪氣」の関係性を知ることで病氣にならない身体づくりのヒントを探っていきましょう!
■正氣と邪氣
❑正氣
正氣とは生命力のことを言います。
氣=エネルギーや生命力、五臓、陰陽、氣血水のバランスが良く、総合的に充実している状態です。免役力とも言い換えることができる「正氣」は量や質(強さ)によって病気への耐性が変わります。
❑邪気
病氣の原因となるもので、熱さや寒さなど氣候の変化といった外からくる外的要因と、怒りや悲しみなど感情の起伏といった身体の内側からくる内的要因の2種類があります。
正氣と邪氣のバランス
正氣と邪氣のバランスが崩れた時に体調が崩れ病気になると考えます。
- 正氣>邪氣 正氣が充実している=心身共に健康的な状態
- 正氣<邪氣 正氣が足りず邪氣が強い=病氣を発症
■病因=病気になる原因
漢方では病氣になる原因を体外の原因「外感」と体内の原因「内傷」の大きく分けて二つに分類します。
❑体外の原因=外感
六氣と六淫
一年間の季節の中で起こる気候の変化を六つに分けた「風/火/暑/湿/燥/寒」を「六氣」といいます。これらは自然の摂理として季節を巡ってやってくるものなので自然の一部である私たちも通常の状態なら適応できますが、正氣が不足していると邪気として病気の原因となります。
六気が体を襲う邪氣となったものを「六淫」と言います。
季節に当てはめると以下のようになります。
季節 | 六氣と六淫 | 影響を受ける五臓 | 症状例 |
春 | 風➣風邪 | 肝 | 咳、鼻づまり、頭痛など |
夏 | 火/暑➣暑邪 | 心 | 高熱、口の渇き、発汗など |
長夏 | 湿➣湿邪 | 脾 | 重だるさ、むくみ、食欲不振など |
秋 | 燥➣燥邪 | 肺 | 皮膚の乾燥、空咳、胸痛など |
冬 | 寒➣寒邪 | 腎 | 手足の冷え、下痢など |
季節の気候の変化に対応できる身体であればすぐに病氣になるということはありませんが正氣が足りない場合や、夏に熱すぎる、冬に寒すぎるというその季節特有の氣候が過剰に働いたり、季節外れの氣候などでバランスが崩れることも六気が六淫になる原因になります。いずれにしても正氣の強さが邪氣を寄せ付けない身体をつくり、邪氣が入ったとしても邪氣と戦い打ち勝てるものと考えることができます。
❑体内の原因
七情
「怒/喜/思/悲/憂/恐/驚」の七つの感情の変化のことを「七情」と言います。この七情が乱れると五臓に影響を及ぼします。
内(心)を傷つける(過剰に働いた)7つの感情という意味で内傷七情という表現もあります。
七情の乱れにより以下の特徴を持つ五臓の働きが失調します。
七情 | 影響を受ける五臓とその主な働き | 氣の流れ | 症状例 |
怒 | 肝…氣/血を巡らせる、精神の安定など | 上がる | 頭痛、めまい、目の充血など |
喜 | 心…血を巡らせる、精神の安定など | 緩む | 食欲不振、胃もたれ、軟便など |
思 | 脾…栄養を氣血水に変えて全身に送るなど | つまる | 咳、ため息、胸のつかえ、声のかすれなど |
悲/憂 | 肺…氣を巡らせる、外邪(病の原因となるもの)から体を守るなど | 消える | 抜け毛、失禁、流産、閉経が早まるなど |
恐 | 腎…生命維持機能、精氣を保つなど | 下がる | 抜け毛、失禁、流産、閉経が早まるなど |
驚 | 腎…生命維持機能、精氣を保つなど | 乱れる | 動悸、不眠、不安感など |
七情はそれぞれ過剰に働くと氣が乱れ、場合によっては未病にとどまらず病氣に発展する可能性があります。どのような氣の流れがあるのか漢方での四字熟語の表現とともに確認してみましょう。
怒😠
怒則氣上➢怒ればすなわち氣は上がる
怒る時の表現として「頭に血が上る」と言いますよね。他にも「怒り心頭」などという表現もあります。心頭というのは心の中という意味です。つまり怒りというのは心から湧き、上へ上がってくる感情といえます。
臓腑では【肝】への影響が及び
頭痛、めまい、目の充血などの症状が現れます。
喜😊
喜則氣緩➢喜べばすなわち氣は緩む
七情の中ではプラスの感情ですがこの感情も高ぶりすぎると興奮のし過ぎで心が疲れてしまいます。氣がゆるみ集中力がなくなり注意散漫な状態になるなどの不調が起きます。
臓腑では【心】への影響が及び
動悸、不眠、失神などの症状が現れます。
思😔
思則氣結➢思えばすなわち氣はつまる
結ぶとは滞り、つまるという意味です。考え事をして思い悩む、もやもやとした心境です。
臓腑では【脾】への影響が及び
食欲不振、胃もたれ、軟便などの症状が現れます。
悲(憂)😭😞
悲則氣消➢悲しみ憂えばすなわち氣は消沈する
悲しみの感情が極まると氣が落ち込み、無気力になり話す氣力を失います。
臓腑では【肺】への影響が及び
咳、ため息、胸のつかえ、声のかすれなどの症状が現れます。
恐😖
恐則氣下➢恐れればすなわち氣は下がる
氣は先天の氣と後天の氣の二種類があり、そのうちの先天の氣というのは生まれた頃両親からさずかり腎に備わっています。身体の構造という視点から見た氣という存在がある腎に影響が及ぶことで氣が下がります。
臓腑では【腎】への影響が及び
抜け毛、失禁、流産、閉経が早まるなどの症状が現れます。
驚😮
驚則氣乱➢驚けばすなわち氣は乱れる
恐れの感情と同じく、腎に影響を及ぼす感情です。大きな驚きによって心拍数が上がり氣が乱れます。
臓腑では【腎】への影響が及び
恐れの感情の時の症状に加えて動悸、不眠、不安感などの症状が現れます。

■正氣を養う
邪氣に負けず病氣にならない身体をつくるには正氣を高め養うことが大切になります。
最後に私たちの身体を構成し、体内を巡っている「氣血水」理論の「氣」の活動を知り、正氣の養い方を体系的に確認してきましょう🌱

❏体内を巡る「氣」の働き
「氣」にはもともと体内にある「先天の氣」と外から取り込んで補う「後天の氣」の2種類があります。
先天の氣は両親から貰い生まれたころから腎に備わっている氣、
後天の氣はさらに「天の氣」と「地の氣」の2種類にわけられます。天の氣は肺から取り込む自然界の氣(空気などのエネルギー)で、地の氣というのは脾から取り込む水穀の精微(食物のエネルギー)です。このようにして生成された氣が体内を巡っています。
先天の氣➣両親から貰い生まれたころから腎に備わっている
後天の氣➣天の氣…肺から取り込む自然界の氣(空気のエネルギー)
地の氣…脾から取り込む水穀の精微(食物のエネルギー)
つまり、身体の内にもともとある「氣」を外側にある自然界の氣を取り込むというアプローチで生命力を高め補強していくという考え方です。
おすすめの行動としては…
・天の氣…森林浴で自然の空気を取り込む、草花の香りをかぐ、海や川などの水に触れる、砂浜を歩いて大地を感じる
・地の気…氣を補う食材としてエネルギーの源の米、いも類、動物性のうなぎやエビなどを食べる/生姜、小松菜、蜜柑、柚子、シソ、ハーブなど香り高い食材で気の流れをよくする
こんな感じです🙌
自然の中へ出かけて天の気を、
気を補い流れをよくする食べ物から地の気を養うイメージです!
すでに体内に持っている氣を強く高めるために、自分に合う良い氣を取り込むイメージで「正氣を養う」ということを実戦し、盤石な生命力を築き上げていきましょう🌱✨
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