季節に沿った自然界の変化

春には桜が咲いて、強い風で桜が散ると間もなく新緑が芽吹き、夏は緑の葉で生い茂り、
秋には紅葉、そして葉が落ちて冬へー

というように、四季がはっきりしている日本では
自然を見ていると季節が移り変わっていることを感じやすいですよね

自然の一部である私たちも自然の流れに沿って生活することが心身ともに健康に生きるためのコツになるので、

自然界で起こる様々な変化を確認しながら季節を意識した生活法を確認していきましょう📜

漢方では五能=[生/長/化/収/蔵]という、自然界で生きる動植物たちの一生をなぞらえた表現があります。

植物で例えると、

生…春に植物が芽吹く、誕生
長…夏にかけ気温が高まり成長していく
化…花が咲いたり実が成る
収…秋ごろ成熟、収穫する
蔵…草花が枯れる、土に養分を貯めて春を待つ

このような流れで自然界の動植物は活動していると考えます。

自然の一部である私たちも動植物たちと同じように季節の流れに沿って生活することで心身のバランスが保たれ、その行動が健康につながると考えます。

それでは各季節の特徴を見ていきましょう🙌

陰陽や五行説の理論が根本にある漢方の考え方を踏まえると、季節も5つあると捉え、春夏の陽の季節と秋冬の陰の季節の間に「長夏」と表現される時期があります。5つの季節は五行の「木火土金水」に対応しています。エネルギーが陽から陰に転ずる時期に当たるため、「長夏」は五行では受納や変化、安定などの特性がある土の属性ということから「土用」と表現されることもあります。

その季節特有の邪氣から身を守る対策としては旬の食材を食べるなどの食養生の観点からアプローチすることがおすすめです。

季節六淫(邪氣)影響を受ける五臓症状例
風邪咳、鼻づまり、頭痛など          
暑邪高熱、口の渇き、発汗など
長夏湿邪重だるさ、むくみ、食欲不振など
燥邪皮膚の乾燥、空咳、胸痛など
寒邪手足の冷え、下痢など

冬の寒さが落ち着き春の暖かさで自然界が陽の氣に満ちてくる季節です。
開放的なのびのびとした心持ちで過ごすことがおすすめです。

風邪フウジャの影響により肝が弱ると、咳/鼻づまり/頭痛/花粉症などの症状が出るため

・肝の働きを助ける緑の食材[キャベツ、レタス、ほうれん草、にらなど]をとる
・解毒作用のある苦味の食材[菜の花、春菊、セロリなど]をとる

…などの対策により邪氣を未然に防ぎます💡

次第に暑くなり、陽の気が極まり自然界も活気づく季節です。私たちを構成する気血の巡りも活発に働き代謝も良い状態になります。

漢方では「冬病夏治」というように、夏に陽の氣を溜めておくことで冬に快適に過ごせるという考え方があるため、夏は活動的に過ごし陽のエネルギーを高めておくことがおすすめです。

暑邪の影響により心が弱ると、高熱、口の渇き、発汗などの症状が出るため

・心の働きを助ける赤い食材[トマト、にんじん、スイカ、鮭、くこの実など]をとる
・水巡りの良い食材[きゅうり、トマト、スイカなど]で水分代謝を上げる
・酸味のある食材[梅干し、レモン、酢など]で汗を抑える

…などの対策により邪氣を未然に防ぎます💡

夏の暑さが少しずつ落ち着いていき、陽の気から陰の氣へ移行する調整の季節です。

湿邪の影響により脾が弱ると、重だるさ、むくみ、食欲不振などの症状が出るため

・脾の働きを助ける黄色い食材[とうもろこし、かぼちゃ、たまご、オレンジなど]をとる

…などの対策で邪氣を未然に防ぎます💡

少しずつ涼しくなり、自然界が陰の気に満ちてくる季節です。私たちを構成する気血の巡りがゆるやかになっていきます。空気が乾燥しだす頃です。

燥邪の影響により肺が弱ると皮膚の乾燥、空咳、胸痛などの症状が出るため

・肺を潤す白い食材[山芋、大根、れんこん、豆腐、白ごまなど]をとる
・【酸甘化陰=酸味と甘味の組み合わせが身体潤す】という漢方理論を踏まえて
  酸味のある食材[りんご、酢など]、甘味の食材[かぼちゃ、サツマイモなど]をとる

…などの対策で邪氣を未然に防ぎます💡

次第に寒くなり陰の氣が極まり自然界では植物が枯れ、冬眠に入る動物も出てくるエネルギーを温存する季節です。私たちを構成する気血の巡りも滞り、代謝も鈍くなります。

寒邪の影響により腎が弱りやすいため

・腎の働きを助ける黒い食材[しいたけ、牡蠣、ひじき、海苔、黒豆、黒ゴマなど]をとる

…などの対策で邪氣を未然に防ぎます💡

夏に鰻を食べる日として「土用の丑の日」という言葉がありますが、「土用」というのは
次の季節へ移る前の約18日間のことを指すので年に4回該当する時期があります。

春➢土用➢夏➢土用➢秋➢土用➢冬➢土用

次の季節を迎えるにあたり身体を整える期間という捉え方をします。

特に暑さで気力を使う夏の期間の「土用」に力をつける目的で「鰻」を食べる文化が根付いたことで、夏の土用が一番馴染みのある「土用」として受け入れられたという背景がありますが、

春、秋、冬の季節にも存在していて、具体的には

立夏の前日までの春の土用
立秋の前日までの夏の土用
立冬の前日までの秋の土用
立春の前日までの冬の土用

この期間になります。この「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は各季節が始まる頃という意味で「二十四節氣」という暦での表現になります。

二十四節氣とは旧暦に合わせて作られた春夏秋冬それぞれを6つの候で捉える暦で、古代中国から飛鳥時代ごろ日本に伝わりました。明治からは新暦として季節ごとに変化する自然の移ろいを捉えた暦なので、これを意識するとより自分の心と体の変化にも気づきやすくなります。

【立春】 2月4日頃    この日から立夏の前日までが春
【雨水】 2月19日頃  雪が雨に変わり氷が解ける頃、春一番(風)が吹く

【啓蟄】 3月6日頃   冬眠していた生き物が活動を始める頃
【春分】 3月21日頃  昼と夜の長さがほぼ同じになる

【清明】 4月5日頃  清く明るい氣に満ち生き生きしている
【穀雨】 4月20日頃  春の雨が降る時期、春の土用の頃
【立夏】5月6日頃     この日から立秋の前日までが夏
【小満】5月21日頃  植物が生長し生い茂る

【芒種】6月6日頃  種まきをする頃
【夏至】6月21日頃  一年で最も昼が長い日、この日以降冬至にかけて日が短くなっていく

【小暑】7月7日頃  梅雨が明けて暑さを感じ出す頃
【大暑】7月23日頃  暑さが際立つ頃、夏の土用の頃
【立秋】8月8日頃     この日から立冬の前日までが秋
【処暑】8月23日頃  暑さが落ちつく頃

【白露】9月8日頃  草花に露がつく頃
【秋分】9月23日頃  昼と夜の長さがほぼ同じになる頃

【寒露】10月8日頃  露が冷たく秋が深まる頃 
【霜降】10月23日頃  霜が降りる、秋の土用の頃
【立冬】11月7日頃   この日から立春の前日までが冬
【小雪】11月22日頃 初雪が降る頃

【大雪】12月7日頃  雪が降り積もる頃
【冬至】12月22日頃 一年で一番夜が長い日、この日以降夏至にかけて日が伸びていく

【小寒】1月5日頃  本格的な寒さが始まる頃
【大寒】1月20日頃  一年で寒さが最も厳しい頃、冬の土用の頃

「立春」「立夏」「立秋」「立冬」以外にも「夏至」や「冬至」など聞き馴染みのある節氣もあったのではないでしょうか。

知ってる節氣がどのあたりの時期になるのか、他の節気と合わせて意識してみると
自然をより身近に感じられるかと思います。

南北に長い日本は地理的な理由もあるため必ずしも実際の季節と同じとは限りませんが

土用の考え方と同じように次の節氣に備えた準備期間として捉えたり、
旬の食べ物や伝統行事を意識するきっかけになるので、日常生活の指針にしてみてください🙌

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