「氣血水」にどんな働きがあるのか理解を深めると自分の身体を顧みるきっかけになるので
身体を構成している要素である「氣血水」とは何か改めて確認した上で
体内での具体的な働きについても確認しましょう📜
■気血水とは
漢方では「氣/血/水」の3つの要素が体を構成していると考えます。
「氣」は生命活動の原動力となる体を漲る力、「血」は血液のことで全身に栄養を巡らせ、
「水(津液)」は血液以外の体液を指し、全身を潤す働きがあります。
氣=エネルギー、生命力➤目には見えない生命活動の原動力となる体を漲る力
血=血液➤全身に栄養を巡らせる
水=血液以外の体液➤全身を潤す
❑氣血水の陰陽
この3つの要素も陰と陽に分けることができ、
氣が「陽」血と水が「陰」と考えます。
陽は「陽気」として身体が生命を維持し、正常に働くようにする一連の生物学的な働き全般、
陰は「陰液」として全身に栄養を巡らせる滋潤の働きを担っています。
それでは「気血水」それぞれの具体的な働きを見ていきましょう🌿
■氣血水の働き
氣
氣とは
陽を一手に担う生命維持に必要不可欠な存在である「氣」は
もともと体内にある「先天の氣」と外から取り込んで補う「後天の氣」の2種類があります。
先天の氣は両親から貰い生まれたころから腎に備わっている氣、
後天の氣はさらに「天の氣」と「地の氣」の2種類にわけられます。天の氣は肺から取り込む自然界の氣(空気などのエネルギー)で、地の氣というのは脾から取り込む水穀の精微(食物のエネルギー)です。
このようにして生成された氣が体内を巡っています。
先天の氣➣両親から貰い生まれたころから腎に備わっている
後天の氣➣天の氣…肺から取り込む自然界の氣(空気のエネルギー)
地の氣…脾から取り込む水穀の精微(食物のエネルギー)
氣の働き
氣の働きとしては主に5つあります。
推動作用
推動=動かす働き
血液や水(津液)の循環、新陳代謝、消化活動など身体の生命維持活動全般
この働きが低下すると…疲労感などの症状が現れます
温煦作用
温煦=温める働き
身体を温める、体温を正常に保つ
この働きが低下すると…冷え、代謝の低下などの症状が現れます
防御作用
外邪(風邪の原因である六淫など)から身体の外表面を守る、衛氣
この働きが低下すると…風邪を引きやすい、敏感肌などの症状が現れます
氣化作用
気血の生成、水の転化(汗や尿に変える)
この働きが低下すると…汗や尿が出ない、むくみなどの症状が現れます
固摂作用
血や水(津液)の漏れを防ぐ、内臓の位置を保つ
この働きが低下すると…汗が止まらない、頻尿、胃下垂などの症状が現れます
血
血とは
全身を流れる赤い液体。血管(血脈)を流れる液体という意味では一般的な血と同義ですが
西洋医学においての血液と完全に同じではなく、地の氣として食べ物として取り込んた氣の一部と栄養分とが合わさったものという見方をします。
精神活動の基礎物質としての役割があります。
血の働き
全身に栄養を運び潤す
この働きが低下すると…毛髪の薄さ、皮膚の乾燥、手足のしびれなどの症状が現れます
水
水とは
血以外の正常な水分のことで津液とも呼びます
津液の「津」は身体の表面に行きわたり養分となるもの、
「液」は骨、臓腑、脳を潤すもの
水の働き
全身を潤し、関節の働きを滑らかにする
この働きが低下すると…皮膚の乾燥、空咳などの症状が現れます
以上の働きがバランスよく保たれてる状態が健康であり、逆に何か身体に不調が起きた場合は「氣血水」の働きがうまく機能していない可能性があると考えます。
「足りない」「滞り」という2つの観点からみた症状としてさらに具体的に細分化した6種類があり、
氣血水が足りない状態のことを「氣虚」「血虚」「津虚」、
滞って巡りが悪い状態のことを「氣滞」「於血」「水滞」と表現します。

具体的な症状例
・氣虚…疲れやすい、息切れ、内臓下垂、かぜをひきやすい(病は氣から)など
・気滞…氣持ちが落ち込む、ため息、胸がつかえた感じがする、お腹が張っているなど
・血虚…肌が乾燥する、髪がぱさつく、めまい、目の疲れ、爪が割れやすい、眠れない、足がつるなど
・於血…肩こり、腰痛、しみやあざができやすい、頭痛、生理痛が重いなど
・津虚…乾燥してカサカサ、便秘など
・水滞…体が重い、むくみ、鼻水、軟便など
気血水それぞれのバランスが整っていること=必要な量が全身に満ち、滞りなく巡っている状態を維持することが心掛けていきたいポイントです。
キーワードとしては
足りない場合は…【補う】
滞っている場合は…【巡らせる】
です!一番身近で簡単に実践できる養生として「食養生」の観点から確認してみます🙌
■地の氣
氣を作るには、すでに両親からもらっている先天の氣のほかに
外から取り込む天の氣と地の氣がありましたよね
地の氣は食べ物から氣を作るという考え方ですが、食材の効能を意識すれば気血水全ての不調の改善に役立てることができます。
おすすめの身近な食材
気虚…米、いも類、とうもろこし、枝豆、りんご、ぶどう、うなぎ、エビなど
氣滞…生姜、小松菜、蜜柑、柚子、シソ、ハーブなど
血虚…黒米、たまご、ほうれん草、きくらげ、ひじき、黒ゴマ、クルミなど
瘀血…にんにく、ネギ、ニラ、とうがらし、桃、酒など
津虚…白菜、れんこん、しいたけ、いか、豆腐など
水滞…きゅうり、もやし、海草類、スイカなど
日常の食生活を意識する簡単で実践しやすい養生法なので
気血水が身体の中でどんな働きをしているのか意識しつつ、満ちて滞りない状態を維持していきましょう🐣
コメント