女性の養生

PMS(月経前症候群)という言葉もあるように、
女性は特に生理の前や生理中、身体の具合だけでなく心の状態も不安定になることがありますよね

漢方において体を構成する重要な3つの要素のうち「血」には精神を安定させる役割があるため、生理によってその「血」の状態が減ったり滞ったりといった変化により女性は心も不調になりやすいという理屈があります。

そういうわけで血を意識することは特に女性の生理の際、心と身体の状態を改善する一助になると受け取ることができます。細かく見ていくと「血」だけでなく「氣」も意識するべき重要な要素なので五臓との関わりも合わせて確認していきましょう📜

氣は生命活動の原動力となる体を漲る力、生命エネルギーそのものです

陰陽で分けると氣は「陽」に当たります。
陽は「陽氣」として身体が生命を維持し、正常に働くようにする一連の生物学的な働き全般を担っています。具体的な氣の働きとしては以下の5つです。

推動スイドウ作用…血液や水(津液)の循環、新陳代謝、消化活動など身体の生命維持活動全般

温煦オンク作用…身体を温める、体温を正常に保つ

③防御作用…外邪(風邪の原因である六淫など)から身体の外表面を守る、衛氣

④氣化作用…気血の生成、水の転化(汗や尿に変える)

⑤固摂作用…血や水(津液)の漏れを防ぐ、内臓の位置を保つ

以上のことからも氣の働きの失調は心と体の不調に真っ先に影響を与えるため、血に関わる不調が起きた際にも合わせて確認したい項目です。

漢方の気血水理論における「血」は血液というそのままの意味だけでなく、
地の氣=食べ物として取り込んだ氣の一部と栄養分とが合わさったものという見方もします。

精神活動の基礎物質としての役割もあるため、
血の働きとしては

・全身に栄養を運び潤す
・精神を安定させる

…が主な働きになります。

五臓「肝心脾肺腎」の中でも特に女性と関わりが深いと言われている五臓は「肝」と「腎」です。五臓の角度から不調を正すという考え方もありますのでそれぞれの特徴と働きも確認してみましょう

漢方では身体の内も外も滞りなく活動できるのは氣が巡っているからという考え方をします。
全身の活動に関わっているので血との関わりも深い五臓です。

肝の働き
・氣と血を巡らせる
・血を溜める
・精神を安定させる

生命エネルギーの原動力であり、
気血水における氣のような位置づけなので男女ともに意識したい五臓です。

腎の働き
・生命維持機能
・精氣を保つ

健康的な女性の生理は、その月の体調や個人差もありますが一般的には以下のような状態が好ましく、この基準をはずれた具合によって心と身体に不調が起こっていると考えます。

周期➢約28日
期間➢4~7日
色➢最初は明るい、後半は暗い赤
量➢初日は少ない、2〜3日目が多い
痛み➣軽め/なし(薬を飲む必要がない)

血は精神を安定させる役割があるので生理によって減ったり滞ったりすることで精神が乱れやすいということになります。

血が足りないことを血虚、血が滞ってる状態を瘀血と言いますが、

具体的には「氣」と「血」が足りない、もしくは不足している状態を見極めることが体調改善のポイントになるので「氣」の状態も合わせて生理という観点からの不調を確認してみましょう

自分がどれに当てはまるか探してみてくださいね。

血を生成(氣化)、循環(推動)、漏れを防ぐ(固摂)などの氣の働きが失調しているため予定よりも早い周期で生理が始まる、経血量が多い、期間は長めーなどの特徴があります。

周期➢予定よりも早くくる
期間➢通常より長め
色➢基本的に明るい
量➢多い
痛み➣軽い、耐えられる程度の痛み

血が足りていないため予定よりも遅い、経血量は少ない、期間は短めーなどの特徴があります。殆どが気虚の特徴と反対になっていますね

周期➢予定よりも遅くくる
期間➢通常より短め
色➢基本的に明るい
量➢少ない
痛み➣耐えられる程度の痛み

氣が滞っているため周期や期間などが定まらず不定期になりがちです。また滞ることで痛みを感じやすく、痛みの箇所が変動しやすいという特徴があります。

周期/期間➢不定期
色➢暗い赤、血塊がある
量➢月による
痛み➣耐えられない痛み、痛みの箇所が変動しやすい

血が滞っているため予定よりも遅くなりがちです。また滞ることで痛みを感じやすく、同じ位置に痛みが集中するという特徴があります。

周期/期間➢不定期
色➢暗い赤、血塊がある
量➢月による
痛み➣耐えられない痛み、痛みの箇所が変わらない

女性の体調不良、とりわけ生理における不調は氣血や肝、腎といった五臓を特に意識した養生を心掛けることが大切なのでそれぞれの養生ポイントを実践しやすい食の観点から確認していきましょう🙌また、冷えも大敵なので冷え対策についてもお伝えします。

氣と血を補い巡りをよくするおすすめの食材です

気虚…米、いも類、とうもろこし、枝豆、りんご、ぶどう、うなぎ、エビなど
氣滞…生姜、小松菜、蜜柑、柚子、シソ、ハーブなど

血虚…黒米、たまご、ほうれん草、きくらげ、ひじき、黒ゴマ、クルミなど
瘀血…にんにく、ネギ、ニラ、とうがらし、桃、酒など

精神を安定させる役割がある血との関わりが深い肝を養う食材を積極的にとることがおすすめです。肝の不調に繋がる「怒り」の感情を緩和させる効果もあります。

キャベツ、レタス、ほうれん草、にらなど
しいたけ、牡蠣、ひじき、海苔、黒豆、黒ゴマなど

冷えは気血の巡りを滞らせ、生理痛の原因にもなるため体を温めるということも重要な養生のポイントです。

日々の生活で意識できることは「頭寒足熱」です。熱が上に昇ってくる性質を踏まえて考えると体の熱も上半身に集まり下半身は冷えやすくなるため、特に冬は裸足で歩き回らず靴下やスリッパを履いて足の冷え対策を心がけます。

体表面を守るだけでなく、内側から温めることも重要なので体を温める温性と熱性の食材をとるということも意識してみてくださいね。

🟧温性=身体を温める
食材の例…もち米、ネギ、にら、にんにく、海老、鮭、イカ、鰻、鶏肉、牛肉、桃、黒糖、紅茶、酒など

🟥熱性=身体を「温」よりさらに温める
食材の例…ラム肉、唐辛子、コショウ、シナモンなど

いつもは平気なのに生理の時は些細なことが気になってイライラして後で悲しくなったり

こんなに心が不安定になったり乱れたりするのって私だけなのかな…
と考えてさらに落ち込むー

なんてこともあったかと思いますが
「血」と関わりの深い女性は心が乱れてしまうのは漢方的な視点からみてもしごく当然なことだったんです🥹

なので、そんな中でも一生懸命心を保とうと生活しているのはすごいことなんだと
自分の心を褒めつつ

「血」や「氣」を補い、滞りをよくする行動も自分のペースで生活の中に取り入れ
心と体を労ってあげてくださいね🌿

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